統合失調症への名称の変更の経緯
「統合失調症」と聞いて、病気の内容が大体わかるという人はあまりいないと思います。
2002年までは、この病気は、統合失調症ではなく「精神分裂病」という名称で呼ばれていたのです。
「精神分裂病」という病名は、だいたいの人が耳にしたことがあると思います。
精神分裂病という名称から、統合失調症という病名に変更になってからまだ10年も経っていません。そのため、名前自体の認知度が低い状態だと思います。
統合失調症の症状自体に関しては、既に明治時代から知られていました。
ただ、精神分裂病という名称は、あまり好ましく思われていなかったようです。
精神が分裂するというこの病名ですが、普段私たちが使う、「知性」や「理性」を表す一般的な意味での「精神」と、医学用語としての「精神」は実は異なるのです(詳しい説明は省きます)。
にも拘らず、「精神」という言葉を日常で使う方の意味合いで理解されがちでした。
そのため、病名と実際の病気との間に認識の乖離が生じてしまっていたのです。
そのような経緯もあり、2002年にようやく名称変更に至ったのです。
この病名が変更になった背景には、病気そのものへの偏見、あるいは蔑視といったものが少なからず含まれていた事もあります。
現代の世界において、精神疾患はだいぶ見直されてきてはいますが、やはりまだ完全とはいえず、偏見の目はまだ数多く残っています。
統合失調症で苦しんでいる方の多くは、病気自体だけでなく、そういう環境に悩まされているという事を、是非多くの人に認識して欲しいところです。
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1800年代に病気と認識された統合失調症
精神疾患は、現代病のようにいわれますが、実はかなり昔、紀元前から存在が認知されていたということです。
「統合失調症」に関しても、既に古代ギリシャ時代から、その症状自体は知られていたようです。
ただ、これが病気であるときちんと認識されてから、まだ約150年しか経っていないのです。
例えば、中世ヨーロッパでは、こういった症状は病気とはみなされていませんでした。
幻覚を見たり、幻聴を聞いたり、あるいは不可解な言葉を発したりという症状を見せる人は、「悪魔が憑いている」と見なされていました。
よく物語などで語られることのある「悪魔憑き」などというのは、統合失調症が原因ではないかとも言われています。
統合失調症がきちんと病気と認識されたのは、やっと1800年代に入ってからのことです。
1852年、フランスの精神科医のモレルにより、はじめて統合失調症が病気として公式に発表されたのです。
しかし、当時はまだ研究が進んでいなかったため、病気の分類としては、現在における認知症のような扱いだったようです。
病名は、日本語に訳すと「早発性痴呆」となっていました。
1800年代後半になってくると、ドイツ人によって次第に、多くの統合失調症が明らかになっています。緊張病や破瓜病などです。
そして、1899年にドイツ人のエミールという人が、それらをまとめて早発性痴呆とした、と言われています。
1800年代において、統合失調症はまだ研究の初期段階でした。
それでも、これらの症状が病気であるという事を認識できたというのは、非常に大きな前進であったと言えます。
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20世紀は統合失調症の研究が発展
「統合失調症」の研究の歴史は、1900年代に入ってから、大きく変動してきました。
まず、「早発性痴呆」という名称の変更です。1911年にスイスの精神医学者オイゲン・ブロイラーによって変更されました。
ここで登場するのが、多くの人が知るところとなった「精神分裂病」です。
そして、この変化はただ名称の変更のみに留まらずに、より正しい認識へと導かれていったのです。
精神分裂病は、痴呆とは種類の違う病気であるという見解がなされたのです。
結果的にこの見解は正しいとみなされ、精神分裂病という名称と共に、一般にも知られるようになっていったのです。
この後、世界の精神医学者たちにより、精神分裂病の治療方法が研究され始めたのです。
1952年には、フランス人の精神科医がクロルプロマジンによる治療効果の評価を行い、これ以降、精神疾患に関する治療は飛躍的に進歩していったということです。
2000年代に入ると、精神分裂病という名称は「統合失調症」に変更されました。
これまでの精神分裂病への誤った認識を改めることを目的とした変更です。
精神が分裂するというのは、通常私たちが使用している意味の精神が分裂するわけではないということを明確にするための処置でした。
さらに、様々な精神疾患に対しての認識が変化していきました。
これは、1990年代に入ってから、精神疾患自体がかなり社会問題に発展したことが原因です。
この流れから、統合失調症に関しても、認識の変化が生じたのです。
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決して特殊な病気ではない統合失調症
「統合失調症」は、決して特殊な病気ではないということを認識しましょう。
私たち自身、家族、友人など身近な人々がいつなっても不思議ではない病気と考えていいでしょう。
統合失調症の有病率(病気になった人の人口に対する割合)は0.5%〜2%で、国や地域によってさほど大きな差はないそうです。
この数字がどの程度なのかというのを認識するため、他の病気の有病率と比較してみましょう。
まず、喘息。
学校のクラスメイトの中に、恐らく一人や二人はいるのではないかと思われる病気ですね。
喘息の有病率は3%程度と言われています。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、1〜2%だそうです。
つまり、こういった病気と統合失調症はほぼ同じ割合、同じ数の患者がいるということです。
喘息や胃潰瘍が特殊な病気だと認識している人は、まずほとんどいないかと思います。
周りに病気になっている人を一人や二人は知っている、ありふれたと言ってもいい病気のひとつですよね。
つまり、統合失調症もまた、そういう病気のひとつと思ってください。
「精神分裂病」と呼ばれていた頃は、偏見が強く、こういった考え方はなかなか認められませんでした。
極めて特殊な病気で、そんな病気にかかっている者が身内にいることは恥ずかしいとさえ言われていました。
それが重大な誤りである事に社会全体が気づいたのは、つい最近なのです。
そう考えると、社会は病みつつも成長していると言っていいでしょう。
統合失調症が身近な病気であるという事の証拠のひとつに、多くの著名人がこの病気で苦しんでいるという事実が挙げられます。
画家のファン・ゴッホは統合失調症の患者だったと言われています。これについては正しいかどうかはわかりませんが、そういう説があります。
また、ジョン・ナッシュというノーベル経済学賞を受賞した数学者や、画家で小説家の草間彌生さんもこの病気の患者だったと言われています。
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統合失調症は5つに分類
精神疾患の特徴は、同じ病気でも、人の数だけケースがあるということでしょう。
実際、優秀な精神科医の方はひとつの病気で括る事はせず、その患者独特の治療法を模索するために、様々な質問をぶつけると言います。
つまり、精神疾患は、同じ病名でも、患者個々によって、原因、症状、治療方法は全く異なるということです。
「統合失調症」は非常に複雑な病気です。
長い間研究が積み重ねられてきていますが、実はその原因に関してはまだ特定されていないのです。それだけ複雑だということでしょう。
統合失調症には、主に5つのパターンがあると言われています。
妄想型、破瓜(はか)型、緊張型、残遺型、単純型の5種類です。
統合失調症を患った場合、まずどの種類に分類されるのかを正確に見極める必要があります。分類の段階で、5つの型は全く違う病気と言っても過言ではないでしょう。
型が判明したら、治療の方針を決めることになります。
つまり、分類の違う妄想型と緊張型では原因も治療方法も異なるのです。
統合失調症は、数多くの病気の集合体と考えていいかもしれません。
ひとつに括られているものの、原因がはっきりしない以上は、別の病気であると考えても良いでしょう。
統合失調症の症状は、基本的には精神疾患によく見られるものばかりです。あらゆる精神疾患の症状が認められます。
そのため、統合失調症は、ある意味精神疾患の代表的な病気といえるかもしれません。
ある意味、統合失調症という名称はついていても、精神疾患という大きな括りとそれほど変わらないと言えるかもしれません。
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